6月28日(金)と29日(土)の2日間に2024年度第1回目となる水環境調査を行いました。
前回は2024年3月に調査を行っていますので、約3カ月ぶりの調査になります。
さて、前回調査で発生したアマモの状況は?
そして、今年度から水環境浄化の新たな取組として、Hiビーズを設置する事になりました。
Hiビーズとは、広島にある中国電力株式会社の石炭火力発電所で発生する石炭灰のフライアッシュに少量のセメントと水を混ぜて、粒状に固めたものです。
高い強度と透水性(水はけの良さ)を有することから港湾の軟弱地盤改良材として活用されてきましたが、
最近では、海域及び河口域での生物の生育環境の改善や、ヘドロ浄化、硫化水素(悪臭)の溶出抑制などの環境修復材としての活用が注目を集めています。
実験に使用したHiビーズは、中国電力株式会社様にご提供いただきました。
今回はそのHiビーズをプランター内に設置し、設置していないプランターとの比較やアマモを移植する事で今までとの成長の変化等、
Hiビーズがもたらしてくれる水環境の変化をまずは1年かけて見ていきます。
遠く広島県からやってきた「Hiビーズ」、みなとみらいの水質浄化にも力を発揮してくれると期待しております!
*Hiビーズについてのより詳しい説明は以下のURLをご覧ください。
https://www.energia.co.jp/business/sekitanbai/index.html
毎年、夏を越せないアマモの成長にどの様な結果をもたらしてくれるのか?
海の生物は今までよりも増えるのか?ヘドロの浄化は??
まずは、第1回調査時点(6/28&29)での水環境調査の結果になります。
《2024年度 第1回 調査結果》
○実験場周辺で採取した底質をプランター4基に充填、そのうち3基のプランターにHiビーズを散布し、試験区に設置しました。
○鉄鋼スラグ製品設置前の生物観察を行い、3種類の動物を観察しました。
今年度はHiビーズに加え、鉄鋼スラグ製品を用いての調査も行います。
鉄鋼スラグ製品は11月に設置予定ですが、まずは現況を把握するため事前の生物観察調査を行いました。
6/29時点、観察枠内に動物を3種類観察しましたが、濾過食性動物の二枚貝綱やホヤ綱の出現はありませんでした。
この濾過性動物が鉄鋼スラグ製品に付着し、これらの生物が濾過食をすることによって水質浄化に期待が持てるのです!
○実験場周辺でマハゼを多く観察しました。
こちらの様子は動画に収められていますので是非ご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=Oa8L0ttUkBs
○2024年3月にアマモの再発生を確認した位置においてアマモは生育していませんでした。
前回の調査時に再発生していたアマモですが、今回6月の調査時にはすべて消失してしまいました。
今年度の水質浄化作戦がアマモの生育にどう影響するのか!?
じっくり時間をかけて見ていきたいと思っております。
2024年度第1回目の調査は2024年6月28日(金)と29日(土)に行いました。
6月28日の調査時間中は雨が降っており(かなり激しく降る時間帯も!)、河川からの流入により透明度が低い状況でした。
翌29日、天候は曇りでしたが、前日の雨による河川からの流入による影響が大きく、28日よりもさらに透明度は低くなっていました。
(動画を見ていただくと水中の状況が良くわかります。)
鉄鋼スラグ製品の設置予定地点周辺にあるカキ殻礁には、濾過食性動物のシロボヤの付着や食用として利用されることがあるイシガニの出現がありました。
11月に設置する予定の鉄鋼スラグ製品にも、これらの生物が出現することを期待しています。
また、29日の調査時には実験場周辺の海底面に、マハゼの集団が!
マハゼは溶存酸素量が低い環境を嫌い、そのような環境を避けることがあります。
6月28日の降雨により河川から流入した濁流の影響でマハゼの棲み場の海底近くが酸素不足になり、水深が浅く、酸素不足が比較的少ない
(6月29日の実験場周辺の底層のDO[溶存酸素量]飽和度は46.3%と、決して高い値ではありませんでしたが...)
実験場近くに集まっているのではないかと考えられます。
どうやら実験場がマハゼ達の避難場所になっている模様。
こちら動画で見るとマハゼ達のエラ呼吸がいつもよりも少々激しく見えるそうです。
(通常のエラ呼吸がどういった感じなのかがわからないので微妙ですが...)
是非、動画を見て確認してください。
蛇籠やカキ殻礁のある実験場がこれからはもっと(通常時も)海の生物の拠り所になる事を願って、
引き続き水環境の向上に取り組んでまいります。
次回の調査は2024年11月頃実施予定です。
次回調査時にはアマモの播種や移植を行う予定。
Hiビーズを入れたプランターと何も加えていないプランター、アマモの成長にどういう変化が起こるのか?!
鉄鋼スラグ等を利用した水環境の向上にもチャレンジしますので、いつも以上に結果が楽しみな2024年度になりそうです。
汽車道実験場の水中の状況に変化が起きるのか?
それでは、次回調査結果をお待ちください。
※6/29の水環境調査動画はこちら